ショーン・エイカー 『幸福と成功の意外な関係』
TEDxブルーミントン(2011年5月) 12分21秒
2006年春期に米・ハーバード大学で最も人気があった履修科目は何か? それは「PSY1504 ポジティブ心理学」でした。その科目を担当したタル・ベン・シャハール博士を助け、ときに講師の役を行ったのが、まだハーバードにいた頃のショーン・エイカー氏です。その後、エイカー氏はコンサルティング会社を起業し、ポジティブ心理学の理論をベースとした法人研修やコンサルティングを行うために世界中で仕事をしています。
「幸福優位性」を組織内に形成すべき---。これがエイカー氏が世界各国の経営者が非営利団体・学校などのリーダーに訴えるメッセージです。この聞き慣れない言葉は、どのような意味をもつのでしょうか?
エイカー氏はこのTEDトークで(早口に)伝えます。ほとんどの企業や学校で考えられている成功の法則は 「一生懸命がんばれば成功できる、成功すれば幸せになれる」というもの。しかし、それは科学的には間違っている、と。脳は成功するたびに目標を再設定し、バーを高くしてしまうので、幸せが成功の向こう側にあるのなら私たちはいつまでもたどり着くことができない。「成功したら幸せになれる」 という考えが私たちから幸せを遠ざけている、と言います。
成功したら幸せになれるのではなく、幸せになれたから成功できる。これがエイカー氏の考える「幸福優位性」です。つまり、幸福感が豊富なポジティブな脳は、ネガティブな感情やストレス下の脳よりもずっと良く機能する。知能が上がり、創造性が高まり、活力が増大する。仕事の能力も改善され、組織の業績もアップするというわけです。
調査の結果では、ポジティブな状態の脳はネガティブな状態の脳より31%生産性が高いことがわかっています。営業においては37%も成績が上がり、医師は19%早く正確に診断することができる。エイカー氏はこの講演の中でポジティブ心理学の研究データを駆使しながら話し続けます。
エイカー氏はその著書『幸福優位の7つの法則』で、幸福優位性を形成し維持するためのセオリーと具体的な方法を書いています。そのいくつかは彼独自の研究(主にハーバード大学の学生が対象の研究)を基にした考えですが、ポジティブ心理学者の研究内容についても多く引用されています。ポジティブ心理学に興味がある方、とくにビジネスに携わっている方にはお薦めの本です。