PQ: ポジティブ思考の知能指数
幸せな気持ちになると、何事もうまくいく
ショーン・エイカー(グッド・シンク CEO)
一般的に信じられている「成功することで、幸せになれる」という考えは誤解であり、「幸福を感じるようなことを続けることが個人の成功へとつながる」と考えるのが、当論文の著者のション・エイカー氏です。この幸福感と達成や成功との正の相関性を「幸福優位」を言います。
「ポジティブ・インテリジェンス」---ポジティブ思考の知能指数とも言うべきこの能力を身につけることで、自他ともに幸せになれる。これがエイカー氏がHBRの論文で伝えるテーマです。
- 脳をポジティブに訓練することは、ジムで筋肉を鍛えることとあまり変わらない。
- 脳科学の研究では、成人の脳でも適応し変容する力をもっていることが分かっており、新しい習慣を形成することで、脳神経を「配線し直す」ことも可能だと考えられる。
- ポジティブ心理学の研究で、ポジティブな変容に効果的ないくつかの技法がわかっている。エイカー氏はクライアントに「ありがたいと感じる3つのよいことを書き残す」「自分と関わる誰かにポジティブなメッセージを書いて渡す」「机の前で2分間の瞑想をする」「10分間のエクササイズをする」「24時間で最も意義深い経験を2分間で日記に書く」などのアドバイスをしている。
- 幸福感を向上することにおいて、最も効果的だと思われる習慣は何か。それは「人助けをすること」だとエイカー氏は考える。ソーシャル・サポートは毎日の運動と同じくらい寿命に関係することがわかっており、社交的関係が低いと高血圧につながることもわかっている。とくに高いストレス下において、人との関係は非常に有効である。
ポジティブ心理学の創始者の一人である米・ミシガン大学教授のクリストファー・ピーターソン博士は、「ポジティブ心理学のエッセンスを一言で表すと?」という質問に対して、「The other is matter」と答えました。つまり、他者ことが重要である、ということです。どのウェルビーイングの調査にも共通することですが、他者との関係性が幸福感に高く相関することがわかっています。
エイカー氏は、独自の調査により、人助けはそれを「受けること」以上に「与えること」に意味があることを知りました。小さな親切を数多く行うことは、幸せに感じる体験や生きるための意欲につながる。人と目を合わせ、微笑みかけ、心を込めて挨拶をすることだけでも、相手はもちろんのこと自分の幸福感を向上し、「幸福優位性」をもたらすということです。
エイカー氏の論文(原文)は、HBRオンラインで数ヶ月の間トップにランクし最も良く読まれていました。幸福優位性はHBR読者のような経営に携わる人からも高い関心を持たれていることが伺えます。
HBR「幸福の戦略」論文5選
ショーン・エイカー
ダニエル・ギルバート教授
ジャスティン・フォックス
グレッチェン・スプレイツァー教授
ピーター・N. スターンズ教授
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