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相原秀哉さん (日本アイ・ビー・エム株式会社)


新企画の「受講生インタビュー」。第三回目は、日本IBM株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業で戦略コンサルティングをされている相原 秀哉さんです。取材は、上級コースの「ポジティブ心理学 発展」科目の講義前に、丸の内の教室で行われました。

━━━相原さん、早い時間に来て頂き、ありがとうございます。今日は、受講生インタビューということで、相原さんにお聞きしたいことが3つあります。一つ目は、相原さんのお仕事について、二つ目は、どのようにしてポジティブ心理学と出会われ関心をもたれたのか、そして最後に当校で学ばれたポジティブ心理学で今後どのように活用していかれるのか、についてです。よろしくお願いします。

  • わかりました。ではまず、私の仕事についてお話しします。

━━━はい、お願いします。

  • IBMlogo.jpgクリックでHPに移動私は日本アイ・ビー・エムで業務戦略コンサルティングの仕事を主にしています。具体的には「リーン・シックスシグマ」という業務改善の手法を使い、現場主導の品質向上とインプット・アウトプットの時間短縮によるスピードアップ、そしてリーダーの育成を通しての業務パフォーマンスの改善を手伝っています。言ってみれば、製造業の現場から、ホワイトカラーの生産性向上まで、業務分野は幅広く、シックスシグマといったグローバルモデルも国内企業に合わせてカスタマイズして提供しています。

━━━IBMというとIT企業のイメージが強いのですが、どちらかというとコンサルティングや研修的なお仕事をされているのですね。

  • そうですね、始めは直接ITにつながらないかもしれませんが、クライアントの問題を解決し、現場を盛り上げるために、まずはワークショップをクライアントと共催することで、現状を可視化するプロセスを採っています。現場からのインプットをもとに、豊富な経験と知識を共有し、問題の本質を見極めることが目的です。ワークショップにおいて、コンサルタントは方法論やツール、プロジェクト経験に基づく知見の提供に留まらず、現場の知恵を引き出すファシリテーターにも徹します。

━━━なるほど。そこでポジティブ心理学と近づいてくるわけですね。

  • そうです。クライアントに業務改善策をただ提案しても、理屈ではOKでも、感情的に受け入れてもらえないことがあるわけです。共同で開発した改善施策でも、現場の人達が納得して、「腹落ち」する必要がある。そうでないと、どれだけ優れたコンサルティングをしても、成果にはつながらないことが私の経験でわかっていました。そこで何か打開策はないかと個人的に探していたところ、ポジティブ心理学と出会ったのです。

━━━始めは、書籍から入られたのですか?

  • ある日、Facebookでショーン・エイカーの「幸福優位の7つの法則」が紹介されているのを見たのです。ハーバード大学で人気のポジティブ心理学の授業で講師をしていた人が書いた本です。これを読んで「おもしろい!」と思いました。エイカーは、「努力が成功につながり、成功が幸福につながる」という既成概念とは逆のことを言っていますよね。つまり「幸せであれば、成功につながる」と。パラダイムシフトですが、私にはしっくりきました。

━━━その後、どうされたのですか?

  • まずは「ポジティブ心理学について、もっと勉強しないと」と考え、久世さんがされていた勉強会に参加しました。それでこのスクールが立ち上げられることを知って、受講したわけです。

━━━ありがとうございます。相原さんは立ち上がりの時期に受講申し込みを頂いたので、私もとても感謝しています。次の質問ですが、今まで学ばれた理論や手法をコンサルティングの業務で活かせそうなことはありますか?

  • ありますね。実は、早速学んだ事を仕事で使って興味深い経験をしました。

━━━ぜひ教えて下さい。

  • あるプロジェクトでは50人ほどの部署を対象にした業務改善のコンサルティングをしたのですが、対象の複数のグループからメンバーを集めて業務改善のワークショップを実施しました。そこで気づいたのが、同じ部署内でありながら、グループごとによって違いがあったことです。あるグループは非常にスムーズに議論が進む一方で、別のチームはなかなか議論の進みが遅い。

━━━なるほど、それは興味深いですね。その理由は何だったのですか?
   これは私もワークショップをファシリテートするまでわからなかったことですが、雰囲気が全く違ったのです。ワークショップを進めていく中で、私は個々人の能力の違いというよりは行動特性にグループ間で差異があること気が付きました。具体的には、生産性の低いグループは、批判的な意見や「仕方がない」「意味がない」などといった無力感的な意見が多く、ムードが悪かったのです。そのようなグループで問題の見える化をするためのブレインストーミングを行っても、効率が悪い。会議のルールを強化したり、アジェンダを変えたりする工夫はできますが、そのような表面的な部分では変わらないのです。頭でわかっていても、行動特性として変化しなかったのです。

━━━それはかなりチャレンジングな状況ですね。それでどのように対応されたのですか?
   「これは頭ではなく感情に訴えかけるしかない」と考え、授業で学んだ「3つのよいこと」の手法をアレンジしてアイデア出しのブレストの前に行ってみました。そうすることで、雰囲気が変わってアイデアがどんどん出る様になるのではないかと期待していたからです。

━━━結果はどうでしたか?
   それが、私が行動を変えて欲しいと最も期待していた人が、何も変わらなかったのです。「うまくいった仕事」などをメンバーで共有した結果、非常に良い雰囲気になりました。それは成功だったのですが、ある一人のベテラン社員ーー経験や知識が豊富で、おそらく問題の根本を理解しているキーマンだと私が考えた人ですがーーが、相変わらず議論に前向きな態度で臨んでいただけなかったのです。同僚から聞いた事前情報では、その人はいつも斜に構えて、批判的な意見が多い人だということを知っていました。もっと建設的に参加してほしいと期待してこのポジティブ心理学の手法を使ったのですが、当初効き目があったのはその人以外の社員の人達だけで...。

━━━う〜ん、「3つのよいこと」は好奇心や創造力を高める効果があるのですが、全ての人には効かなかったと...。
   いや、そうではなかったのです。その人は、いつものように腕を組んで不機嫌そうな顔をされていたのですが、会議中も「いいね!」と盛り上がってアイデア出しをしている他の社員を見て、何も言わなかったのです。場を盛り下げるような批判的・否定的なことも一言も発しませんでした。これだけでも大きな行動の変化です。さらに30分位経つと、そのキーマンと考えていた人がポツリポツリと意見を言う様になってきたのです! 周りのポジティブな雰囲気に影響されたのでしょうか。しかもその意見がすごい意見だったのです。経験豊富なその人にしか言えない内容で、周りの人も思わず「いいですね!」と感嘆し、さらに会議は盛り上がりました。最後は、その人の独壇場でした。非常に生産的な、期待以上のブレインストーミングとして終わったのです。

━━━いやあ、これはおもしろい。とても参考になります。ありがとございます。最後に、相原さんは最近お子さんが生まれたそうですが、ポジティブ心理学を子育てに活かせると考えられたことはないですか?
   うちの子はまだ小さく、父親としての子育ても始まったばかりでまだわかりません。ただ、夫として妻にできることはありました。

━━━ポジティブ心理学の夫婦関係への応用ですね。教えて下さい。
   妻は妊娠期間中につわりがひどく、かなりナーバスになってつらい時期が続きました。フラストレーションも溜まってイライラした毎日が多かった。そのときに、以前に久世さんの勉強会で習った「アクティブ・コンストラクティブ・レスポンス(ACR)」ですか、積極的に建設的に対応するやり方は非常に役に立ちました。ポジティブな人間関係は、問題があったときにどう対応するかだけでなく、よいことが起こったときにどう対応するかにかかっている、というものです。

━━━たしかにあのACRはあまり知られていないのですが、実に使える良い手法ですよね。本日のインタビューは以上になります。いろいろ事例を教えていただき、ありがとうございました。