レジリエンスとは?

2021年1月

 

レジリエンス研究について

 
欧米を中心に30年以上も研究されてきたレジリエンスには、いくつかの定義があります。
 
全米心理学会はレジリエンスについて、以下のように定義しています。

『レジリエンスとは、逆境やトラウマ、悲劇的な事態や脅威、または著しいストレスに直面したときに適切に適応するプロセス』

つまり、レジリエンスとは、困難な体験から回復することを意味します。研究によれば、レジリエンスは人々が共通して有しているものであることとされています。9.11のテロ事件や3.11の東日本大震災から立ち上がった人々の姿がそれを物語っています。

一方で、レジリエンスが強いことは、困難や苦悩を体験しないというわけではありません。逆境に直面すれば、感情的な痛みは感じられます。レジリエンスとは、その逆境をいかに捉え、対応するかなのです。
それには思考・感情・行動の領域における対応が含まれます。レジリエンスは誰にでも習得し、開発することが可能なスキルでもあるのです。
 
もともとレジリエンスは人生で危機や悲しい出来事を経験した人に向けた療法的なアプローチが中心でした。心理療法やカウンセリングの領域で主に研究・応用されていました。
それがうつ病の若年化の問題に直面した学校での解決策の一つとして、レジリエンス教育をうつ病の予防策として使われるようになりました。さらには、メンタルヘルスが重要になった職場の領域でも注目を浴び始めたのです。
 
職域では、サルバトール・R・マッディとデボラ・M・コシャバが米イリノイ・ベル・テレフォン社で調査した結果をまとめた「ハーディネス」というストレスフルな状況に対しての態度とスキルの研究が初期のレジリエンス研究として有名です。マッディらは、レジリエンスの高い姿勢として3C(コミットメント、チャレンジ、コントロール)をあげました。

その後、米・ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授らが開発した学校教育向けのPRP(ペン・レジリエンス・プログラム)を基盤としたレジリエンス・トレーニングが社会人向けに開発され、企業や陸軍などの組織に導入されました。ポジティブ心理学の中核研究である「人格的な強み(Character Strength)」をベースとした「ストレングス・アプローチ」が採用されている点が、従来のストレス・コーピング系の研修との違いとされました。

欧州では、イースト・ロンドン大学大学院で応用ポジティブ心理学修士課程のディレクターを務めたイローナ・ボニウェル博士らが開発した『SPARKレジリエンス』が企業組織や教育で幅広く活用されています。

 
久世 浩司
 

参考文献
 

「仕事ストレスで伸びる人の心理学」サルバトール・R・マッディ、デボラ・M・コシャバ
 
Building Resilience for Success: A Resource for Managers and OrganizationsCary L. Cooper, Jill Flint-Taylor