• ポジティブ サイコロジー スクール

お申し込み・お問い合わせ
TEL: 03-6869-6493
Eメール: info@positivepsych.jp

【書評】幸福優位 7つの法則
仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論

ショーン・エイカー(著)高橋由紀子(訳)

AmazonへリンクしますLinkIcon

ビジネスパーソンにおすすめの本

幸福優位.jpg
私が本書のことを初めて知ったのは、まだ発刊される前の2010年。
「ビジネスコンサルタントが書いた、ポジティブ心理学をビジネスに活かす内容の本が発刊される」という記事をFast Companyという雑誌で目にしたのがきっかけでした。

ビジネス書としてのポジティブ心理学関連の本はまだ数少なかったこともあり、「待ってました!」と書籍だけでなく、著者のショーン・エーカー自らが朗読するオーディオブックも購入して、聴きながら読書したことを覚えています。

日本語に翻訳されたのはその一年後の2011年の夏。「幸福優位の7つの法則」という魅力的なタイトルと、高橋由紀子さんの丁寧な訳で、ビジネスパーソンを中心によく読まれたようです。私どものスクールでも、この本をきっかけにしてポジティブ心理学に興味をもち、受講を決めた方が何人もいらっしゃいました。ビジネスの世界にポジティブ心理学を紹介した功績は大きいと思います。

エイカー氏は、別途紹介する本の著者であるタル・ベン・シャハー博士の弟子的存在で、当時ハーバード大学で一番人気の講義だったポジティブ心理学を教えた一人でした。そしてこの本は、エイカー氏がハーバードに入学する物語から始まります。

ハーバード大学は、入学するまでは全米各地で成績トップだった若者が集まる大学です。しかし、入学後は半分の学生がハーバード内で「平均以下」に位置することになります。これは当たり前のことですが、その結果ハーバードではうつ病を経験する学生が多く、そのほとんどが(著者曰く)慢性的な不幸感に悩まされていると言います。それが「幸福の研究」であるポジティブ心理学の講義に多くの学生が殺到した理由かもしれません。

本書では、ハーバードの学生調査と、著者が欧米の大企業で研修・調査を重ねた結果導き出した「幸福優位性を生み出す7つの法則」が明らかにされます。スティーブン・コヴィの「7つの習慣」のようですが、ここで言う7つの原則は幸福度が高くなることによって高業績や成功を達成する確率が高くなるというポジティブ心理学の調査を基にしたものです。

人の頭脳は、幸せになると生産性や創造性が向上することがわかってきた。また幸せな感情は、他人に伝染する「幸福の波及効果」があることも調査により判明した。つまり、先に幸福になれば、 それが競争力の源泉となり、成功をもたらす可能性が高くなる。 「幸せは、成功に先行する」というのが著者の(ポジティブ心理学の研究に根拠づけられた)持論です。

私はこの持論に非常に興味が惹かれました。実際、私が働いていた(外資系企業の)職場でも、ネガティブな上司から楽観的なリーダーに変わってから、部門の業績が大きく上向いた経験が幾度もあったからです。ポジティブなリーダーシップは効果が高いと確信した実体験でした。

ただ同時に「この考えは、すぐには日本の企業にはなじまないかもしれない」とも考えます。危機感をもって不安や怒りを原動力とするリーダーが良しとされる文化や価値観があるからです。楽観的でポジティブなリーダーは、逆に評価されにくいのではないでしょうか。とくに管理職は、楽観的であるよりもやや悲観的で注意深いほうが好まれる傾向があるように思われます。

しかし、幸福優位性は仕事での成果に、組織の生産性向上やチームワークの強化に、そして離職率の低下につながることが研究で実証されています。その優位性を生み出す7つの方法が、本書ではわかりやすく書かれています。それらの法則の説明の後には、どのように仕事や家庭や人生に活かすことができるかが具体的に述べられています。いい人生、いいキャリア、いい職場をつくる方法が具体的に記されています。読者の好奇心とやる気をくすぐるような内容です。

私は以前にUBS証券東京本店でセミナーに招かれたことがあります。そのセミナーの後に「なぜポジティブ心理学に興味をもたれたのですか」と聞くと、人事担当の方は「実は以前にショーン・エイカー氏が来日され、幹部研修をしてもらったのです」と話していました。その研修に参加して、ポジティブ心理学は仕事に活用できると信頼されたそうです。私は本書を読んで「ビジネスの世界に長くいた自分がポジティブ心理学を日本で伝えることに意味がある」と考えたこともあり、著者のエイカー氏との不思議な縁を感じました。

ビジネスに関わっておられる方にはとくにおすすめの本です。ぜひ購入して読んでみて下さい。

※ハーバード・ビジネス・レビューでのショーン・エイカー氏の論文TEDでのビデオも併せてご覧下さい。


目次


目次
パートI 職場におけるポジティブ心理学――幸福優位性の発見/職場における幸せと成功/人は変わることができる
パートII 幸福優位7つの法則
法則1 ハピネス・アドバンテージ――幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす
法則2 心のレバレッジ化――マインドセットを変えて仕事の成果を上げる
法則3 テトリス効果――可能性を最大化するために脳を鍛える
法則4 再起力――下降への勢いを利用して上昇に転じる
法則5 ゾロ・サークル――小さなゴールに的を絞って少しずつ達成範囲を広げる
法則6 二〇秒ルール――変化へのバリアを最小化して悪い習慣をよい習慣に変える
法則7 ソーシャルへの投資――周囲からの支えを唯一最高の資産とする
パートIII 幸せの波及効果――幸福優位性を仕事に家庭に人生に応用する


久世 浩司(ポジティブサイコロジースクール 代表)