【要約】マインドフル・ボディー
ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法

 「マインドフルネスの母」が書いた本

この記事では、初心者向けの入門書からより深く学びたい方への専門書まで、『マインドフルネス』に関する基本概念や効果、実践方法がわかりやすく解説された良書を紹介します。心の健康を向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。
 

マインドフル・ボディ―ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法

 
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著者のリアル・ストーリーが率直に明かされる

 
「マインドフルネスの母」として知られる社会心理学者のエレン・J・ランガーの最新の書籍です。副題で示されている通り、「ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法」に焦点を当て、ランガー教授の生涯にわたる『心理が肉体に及ぼす影響』というテーマに関する研究が集大成された、マインドフルネス研究の重要な一冊です。
 
興味深いことに、本書ではランガー教授自身のリアルなストーリーが率直に明かされています。ハーバード大学で初の女性常任教授(テニュア)として活躍し、ベストセラーの著者としても知られるランガー教授の率直で飾らない姿勢が、本の各所から伝わってきます。
 

マインドフル・ボディーの意味は?

 
本書のテーマは「心は身体に影響する」ことです。このテーマを追求するきっかとけなったのは、実はランガー教授の母のがんとの闘病を間近で見たことでした。詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、ご自身の経験により「心理が肉 に体及ぼす影 響」に深く関心を持ち、社会心理学者としての研究テーマとなったのです。
 

マインドフルな人、マインドレスな人

 
本書では、マインドフルな人のメリットとマインドレスな人のデメリットが具体的に紹介されています。ランガー教授にとって、マインドフルな状態は瞑想が必要なものではなく、「積極的な気づきを求める」ことであり、これによって気づかなかったことに気づき、知っていると思っていたことも実はよく理解していなかったと気づくことを指します。
 
また、心の状態が健康に与える影響が最も重要な要素であるため、マインドレスな人は自身の心の中に潜む「思い込み」が無自覚のまま健康を損なうことがあります。しかし、マインドフルな状態に戻すことで健康を回復する可能性があることが、さまざまな研究を通じて示唆されています。
 
私も"人生100年時代"で折り返し地点を過ぎた年齢ですので、健康に気を配るようになりました。ランガー教授の「健康でいるためには、マインドフルな心の状態を保ち、マインドフルな人と過ごすことが重要です」というメッセージは、心に深く響きます。
 
なお、この書籍は高橋由紀子さんの翻訳です。高橋さんは原著を選ぶセンスが良いので、良書を多く手がけており、その翻訳書は外れがありません。本書も本屋で平積みされていたので、よく読まれているのではないかと思います。


心に残った言葉

 
「マインドフルネス」は、私と教え子たちが研究結果で示してきたように、「積極的な気づき」という単純なプロセスであり、特に瞑想を必要としない。マインドフルである時、人は今まで気づかなかったことに気づき、知っていると思っていたことも実はよく知らなかったのだと悟る。すると、すべてが興味深いものとなり、そこから新たな有用性が見出だせる。
 
マインドフルな人のそばにいるだけで、マインドフルの度合いが上がる。
 
マインドレスな大人と関わった子どもたちは、マインドフルな大人と関わった子どもたちと比べ、自己育成感が大幅に低かった。さらに、キャンプは楽しくないと答え、面接者も嫌いだったと答える傾向が高かった。一方、マインドフルな大人と関わった子どもたちは、ポジティブな影響を受けていた。彼らは自己育成感がより高く、キャンプが楽しいと答えただけでなく、自分は幸福で、面接者も自分を好きだったようだと答える傾向が高かった。
マインドフルネスは人に伝わる。マインドフルな人間に接すると、自身のマインドフルネスもまた上昇するである。

教育や社員を雇おうとしているなら、過去の仕事で実力を発揮している人たちをマインドレスに雇うより、強みを持つ人を雇って、その強みに合うように今後の仕事をマインドフルに調整する方が成功につながるだろう。

人はマインドレスな時には間違いを犯しやすく、しかもほとんど疑いを持たない。

マインドフルな病院とはどういうものだろう。それは、病気と死に関わる患者の不安を和らげ、患者がどう生きるかを学ぶ場所であるべきだと私は思う。

人には、見ようとしているものだけが見え、それ以外のものは目に入らない傾向があるということだ。

執筆者の紹介

久世浩司 

ポジティブサイコロジースクール代表
応用ポジティブ心理学準修士(GDAPP)
認定レジリエンス マスタートレーナー
 
当スクール代表の久世浩司はポジティブ心理学レジリエンスを専門にしています。慶應義塾大学卒業後、P&Gに入社し、その後は社会人向けのスクールを設立。レジリエンス研修認知向上と講師の育成に取り組んでいます。NHK「クローズアップ現代」や関西テレビ『スーパーニュースアンカー』などでも取り上げられ、著書による発行部数は20万部以上。研修・講演会の登壇は上場企業から自治体・病院まで100社以上の実績があります。
 

主な著書
『「レジリエンス」の鍛え方』
『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』
『なぜ、一流になる人は「根拠なき自信」を持っているのか?』
『リーダーのための「レジリエンス」入門』
『なぜ、一流の人は不安でも強気でいられるのか?』
『親子で育てる折れない心』
『仕事で成長する人は、なぜ不安を転機に変えられるのか?』
『マンガでやさしくわかるレジリエンス』
『図解 なぜ超一流の人は打たれ強いのか?』
『成功する人だけがもつ「一流のレジリエンス」』
『眠れる才能を引き出す技術』
『一流の人なら身につけているメンタルの磨き方』
『「チーム」で働く人の教科書』



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