要約:ネガティブな感情の魔法

「悩み」や「不安」を希望に変える10の方法

ブレネー・ブラウン(著)本田健(訳)
 

ネガティブな感情でいかに成功を呼ぶかについて書かれた本

 


今回は、ヒューストン大学教授ブレネー・ブラウン氏の本を紹介します。
本書原題「The Gifts of Imperfection(不完全という贈り物)」
 
本書は、『本当の勇気は「弱さ」を認めること』(原題「Daring Greatly」)に続いて翻訳・出版されました。
ブラウン氏は「恥」や「共感」の研究者で、傷つきやすい心や恥をテーマにしたTEDの講演が話題となり、注目されている心理学者の一人です。
 
 

■「羞恥心」とはどんな感情か

 
ブラウン氏は、羞恥心について以下のように説明しています。
 
・誰もが持つ一般的で日常的な感情
・自分の欠陥ゆえに「自分は人から愛される価値がない」という悲観的な思考(不安・恐怖心)から生じる、激しい痛みを伴う感情
・肉体的変化を伴う
・人格、自己認識、自己肯定感に影響を与え、自分らしさを表現できなくなる
・暴力、攻撃、抑うつ、依存症、摂食障害、いじめ、ひきこもりなどの問題を引き起こす
・「どんな人でも羞恥心を克服することができる」
 
人は、帰属意識と、周りの人とつながり愛されたいという願望を持っています。
羞恥心は、ルールや規範、周囲の期待からはずれたとき、実際に非難されなかったとしても、周りの人からの評価を気にすることで生じます。
そのため、周りの人から受け入れられることが必要になります。
自分の弱さを認め、打ち明ける勇気を持ち、思いやりや共感、絆を感じることが克服につながるのです。
 
 

■自分らしく生きる

 
ブラウン氏は、「自分の価値を信じるのに条件はいらない」「いまこの瞬間、あるがままの状態で愛される価値がある」と述べています。
 
世の中には「~があれば」「~できれば」と条件付きの幸せのイメージにあふれていますが、無い物ねだりをすることは欠乏感を生み、自己評価を下げ、自分らしさは発揮できません。
 
これに対し、これでよい、十分だと「今」に満足をすることは、感謝の気持ちが生まれ、完璧主義から解放され、自己肯定感の向上につながります。
 
京都龍安寺の蹲踞には「吾唯足知」という言葉が刻まれていますが、ブラウン氏の唱える「自分らしい生き方」には、この知足の精神に通じるものが感じられます。
 
 

■興味を惹かれたポイント―感情とどう向き合うか

 
ブラウン氏は、自分らしく生きるための10の指標と、DIGルール:「心を落ち着かせ(Deliberate)、元気の素(心の栄養)を手に入れ(Inspired)、行動する(Going)」方法を示し、スナイダー博士の希望理論や、感謝の意義、体験を共有しあう大切さなどを説明しています。
 
ここで、ブラウン氏自身の日々の生活での出来事やそのときに生じた感情を「告白」し、これに立ち向かうために実践していることを紹介しています。
 
ネガティブな感情は、生存に関わる選択や変化・成長のきっかけを促す役割を果たし、ゼロになればよいものではありません。
また、心の痛みを和らげるために鈍感になったり依存に逃げ込んだりすると、ポジティブな感情まで感じられなくなってしまいます。
勇気をもって立ち向かわなければならないのです。
 
本書には、レジリエンスを鍛えるためのヒントが散りばめられています。
あれこれ条件をつけていつのまにか背負い込んでしまった荷物に気づき、そして、荷物をおろして、恐れることなく自分らしさを取り戻す行動を開始しましょう。
 

目次

訳者のことば プラス思考だけじゃダメなんだ!
 「できない自分」を受け入れると人生は劇的にうまくいく
1.「弱点」は「強み」に変えられるってホント!?
―自分らしく豊かに生きるための心理学
2.一日一つ“心の荷物”を降ろすだけで起こること
―こんな「小さなチャレンジ」からスタ―トしよう
3.自分で自分にブレ―キをかけるのは、もうやめよう
―なぜ、簡単に夢をつかむ人と、つかみ損ねる人がいるのか?
ルール1 「人がどう思うか」より「自分はどうしたいか」
ルール2 「完璧主義」は捨てていい
ルール3 「変化」をおそれない
ルール4 「ありがとうのパワ―」を手にする
ルール5 チャンスをつかむ「直感」を鍛える
ルール6 他人とのこんな比較をしない
ルール7 大胆に「遊び」、堂々と「休む」
ルール8 「ぶれない自分」を手に入れる
ルール9 「ToDoリスト」なんかゴミ箱行き!
ルール10 もっと「熱く」なっていい
おわりに 弱いところがある人ほど、パワーも大きい
 
 

2013年9月30日
中川由美子(ポジティブ心理学コーチング課程修了)

関連情報

 
 

TEDビデオ「傷つく心の力」(日本語字幕あり)The power of vulnerability(2010)  リンクはこちら



 
 
TEDビデオ「恥について考えましょう」(日本語字幕あり)Listening to shame(2012)  リンクはこちら