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【書評】ポジティブ心理学入門
幸せを呼ぶ生き方

島井哲志(著)

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国内で初期のポジティブ心理学の入門書

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著者の島井先生は、まだ国内でポジティブ心理学があまり知られていないときに、書籍などを通して日本にポジティブ心理学を紹介された方です。

米・ペンシルベニア大学で客員研究員として一年間ポジティブ心理学の創始者の一人であるセリグマン教授のもとで学ばれました。同時に「強みとしての徳性」診断ツールであるVIAの開発研究にクリス・ピーターソン博士と関わられたそうです。

ポジティブ心理学の中心にいる研究者の薫陶を受けたこともあるでしょう、本書はポジティブ心理学を学ぶ上で基本となる研究が、非常にわかりやすく書かれています。私自身、まだポジティブ心理学の翻訳書が少なかった時期に、原書でわからない点があるとこの島井先生の本で確認するなど、個人的にもお世話になりました。

本書は一般書ではありませんが、「ポジティブ心理学」という(当時は)新しい分野を平易な言葉で書かれたテキスト書とも言えるでしょう。私どものスクールの受講生には本書を入門書としてすすめることがあります。

目次を見ればおわかりになりますが、本書では「ポジティブ心理学とは何か」から始まり、「幸福度の研究」で好奇心がくすぐられ、その後に「ポジティブ感情」「フロー」「楽観主義と希望」「EI(感情知能)」「モチベーション」「強みとしての徳性」「意義」などの項目が続きます。ポジティブ心理学に関心のある人なら、誰でも興味があるトピックでしょう。

本書の中で私がとくに興味をひいたのは、VIAの強みとしての徳性に関する日米の青年の比較調査でした。
本の中では「強みとしての徳性」ではなく「品目・徳目」という言葉が使われていますが、VIAの24種類の強みと同意です。その日米比較の中で、両国ともに平均数値が最上位に挙げられたのは「感謝」「親切」だったそうです。日本人の若者も米国人の若者も、自分に与えられたものを感謝し、人に親切にすることを大切にする価値観をとても重視していると言えます。また、他の項目も日本と米国との間で大きな差が見られませんでした。(唯一あったのは「スピリチュアリティ・精神性」の項目ですが、これはキリスト教の影響力が強い米国では日本よりもかなり上位にあったのでした。ただ、日本人も信仰心は厚く、偉大な力を大切にする価値観を持つ人も多いので、質問の仕方によるのかもしれません。

本書は、しかしながら、ポジティブ心理学をかなり勉強された方には、各章の内容がシンプルなために物足りなく感じるかもしれません。その場合は、島井先生が編集されたより学術的な本「ポジティブ心理学」)に挑戦すると良いかもしれません。国内外の大学の教授・准教授の先生方により、ポジティブ心理学の傘でカバーされている研究分野がまとめられています。ただ、大学や大学院などで心理学を学んでいないと、専門用語が多いため、多少難解かもしれません。

いずれにせよ、わかりやすくポジティブ心理学を学ぶことができる本書が早い時期に出たことは、意味があったと思われます。


目次


目次
第1章 ポジティブ心理学とは何か
第2章 幸せの心理学のはじまり
第3章 ポジティブ感情の働き
第4章 夢中になる経験
第5章 オプティミズムと希望
第6章 感情のある知性-情動知能
第7章 自己のポジティブなあり方と愛情
第8章 ポジティブな特性-品性・徳目
第9章 生きる意味-働きがいと生きがい


久世 浩司(ポジティブサイコロジースクール 代表)