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【書評】スタンフォードの自分を変える教室

ケリー・マクゴニガル(著)神崎浪子(訳)



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「意志力を活用した目標達成」についてわかりやすく書かれた本

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今回は「意志力の科学」に関する話題の本を紹介します。
スタンフォード大学講師で心理学者のケリー・マクゴニガルさんによる本。「Will power」(意志力)の研究と自制心の鍛え方が書かれています。

「禁煙をしたい」「体重を減らしたい」「無駄遣いをやめたい」「先延ばしをやめたい」
多くの人が、悪い習慣を捨てて健康的な習慣を身につけるために目標をたてて努力しますが、長続きしないことが多いのが現状です。誘惑に負けてしまう、そして目標半ばであきらめてしまうのが主な原因です。

心理学では、目標を達成する秘訣が「意志の力」(Will Power)にあると考え、長年研究されてきました。とくに食べ過ぎ・飲み過ぎ・使い過ぎといった過食・アルコール・ギャンブルなどの依存症の解消が目的です。つまり悪習慣をなくすことです。

ところが、この「意志力」は「理想の自分に変わる」「夢や望を実現する」といった前向きの目標にも活用できます。自分に隠された潜在能力を引き出して、ポジティブな自己革新を遂げること。その結果「いい人生」を実現すること。それがこの本のテーマです。

マクゴニガルさんは、健康心理学者です。同時に、彼女はスタンフォード大学の「思いやりと利他性研究教育センター」(CCARE)に深い関わりをもち、「思いやり養成トレーニング」(Compassionate Cultivating Training)を開発し講師を務める、マインドフルネスと思いやり研究、心身相関のヨガ・瞑想の研究の専門家でもあります。本書にも呼吸法や瞑想法が「意志力」を鍛える根拠のある手法として挙げられているのは、このような専門性に裏打ちされているからです。

意志力の科学に関する他の学者としては、米・フロリダ大学心理学部教授のロイ・バウマイスター博士がとくに有名で、彼の著作である「WILL POWER 意志力の科学」は翻訳されています。マクゴニガルさんの本書を初心者向け、バウマイスター博士の書籍を中級者向けとしておすすめします。


興味を惹かれたポイント


意志力は限られた資源である...意志力は使うたびに減っていくので、自制心を発揮し続けていれば、いずれコントロールが聞かなくなる怖れがあります。

呼吸に意識を集中するのは、かんたんながらじつに効果的な瞑想のテクニックであり、脳を鍛え、意志力を強化するのに役立ちます。これによってストレスも減少し、気が散る様な内的な要因や外的な誘惑に惑わされないようになります。

「自制心を要する小さなこと(姿勢をよくする、甘い物を減らす、出費を記録する)を継続して行った場合、意志力が全般的に強くなるという結果が出ています。

味わって食べる練習をした人は、食べ物に関して自制心が強くなり、大食いが減りました。

考えや欲求を頭からムリに追い払ったりせず、「思考」を押さえつけず「行動」だけを自制すると効果的です。

3つのスキルーーー自己認識、セルフケア、自分にとって最も大事なことを忘れないことーーーが、自己コントロールの基盤であることを示しています。

目次

Introduction 「自分を変える教室」へようこそ
    ──意志力を磨けば、人生が変わる
第1章 やる力、やらない力、望む力
    ──潜在能力を引き出す3つの力
第2章 意志力の本能
    ──あなたの体はチーズケーキを拒むようにできている
第3章 疲れていると抵抗できない
    ──自制心が筋肉に似ている理由
第4章 罪のライセンス
    ──よいことをすれば悪いことをしたくなる
第5章 脳が大きなウソをつく
    ──欲求を幸せと勘ちがいする理由
第6章 どうにでもなれ
    ──気分の落ち込みが挫折につながる
第7章 将来を売りとばす
    ──手軽な快楽の経済学
第8章 感染した!
    ──意志力はうつる
第9章 この章は読まないで
    ──「やらない力」の限界
第10章 おわりに
    ──自分自身をじっと見つめる


2013年8月13日
ポジティブサイコロジースクール代表 久世 浩司